『電車の運転』 (かめぞう キーワード)

『電車の運転』 〜門外漢にも おもしろく、そして とても 文学的〜

サブタイトル: 運転士が語る鉄道のしくみ
著者: 宇田賢吉


<紹介記事ばっすい>


『電車の運転』

単刀直入。タイトルで つろうと いう 思惑が あふれ すぎて かえって 個性が なくなっとる 最近の 新書戦線を わらう ような、これ 以上は ない ほどに シンプルな タイトルだ。


著者は 1958年に 国鉄に 入社、JRに 改編された さいに JR西日本に うつり、2000年に 退社するまで 42年間、運転士を つとめた。


鉄道マニアだけでは なく 鉄道音痴の 人間にも おもしろい。本年度の 新書ベスト 10を あげろと いわれれば まず まちがいなく はいる ぐらいだ。


たとえば 第 3章は 「はしる」 ことだけを テーマに した 章だが、「ノッチオフと運転時間」「惰行」「運転途中での停止」「運転士と乗務線路」「走行抵抗」「速度制限」「ランカーブ」「電力が電車に届くまで」と じつに 8項目から 構成されて おり、ところに よっては さらに 複数の サブ項目に 分割されとったり する。


詳細だが 無味乾燥では なく、おもいいれが あふれても おらん。


わずかな ディテールをも おろそかに せん 綿密な 記述は、そのまま 新人運転士の テキストに つかえるんじゃ ないかと おもえるが、この 緻密さは 懇切丁寧が あだと なった 実用書の 煩雑な こまかさとは 性質が ことなっとる ように おもえる。


客観的な 記述に みえるが そうでは ない。ここに かかれとるのは 著者の 経験で ある。技術が たんに マニュアル的に つたえられとるのでは なく、つみかさねた 経験から みちびきだされた 著者個人の 見解が、技術論と いう かたちで のべられとるのだ。過去に ふれた 最後の 一文が、この 記述が 歴史の あつみに ささえられた もので ある ことを うらづけとる。


電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ (中公新書 1948) (新書)
門外漢にも面白く、そしてとても文学的〜『電車の運転』 宇田賢吉著(評:栗原裕一郎)【奨】:日経ビジネスオンライン




(おりじなる)
『電車の運転』 (でんしゃの うんてん) - かめぞう