痴漢や盗撮犯のとりしまりにはげむ鉄道警察隊　〜福井と滋賀で〜

さいきんでは、乗客同士のトラブルや駅員にたいする暴力への対応、混雑時の乗客誘導、テロ対策などのために、駅構内への防犯カメラの設置がすすみ、さらにはＪＲ東日本の埼京線（さいきょうせん）では痴漢対策を目的として、電車のなかに防犯カメラが設置されるようになった。鉄道事業者によるこうしたとりくみがすすむ一方、各地の鉄道警察隊もおんなのひとをねらった犯罪の防止にはげんどる。

きょうは、福井県と滋賀県から鉄道警察隊の活躍のようすを紹介する。

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福井県警鉄道警察隊最年少隊員の女性隊員、大坂さなみ巡査部長（26才）

ことしの 4月、福井県警鉄道警察隊に、専従隊員としては 1987年の発足後、男女ふくめて最年少となる女性隊員として着任。
福井駅構内を警戒する大坂さなみ巡査部長（ちゅうにち）
福井県警に採用されて 4年めになるけど、痴漢など女性をねらった犯罪の摘発率アップをめざし、ひび奮闘。
ベテラン専従隊員の中村忠明警部補（59才）とふたりで、ＪＲ福井駅の隊舎を拠点に、改札付近でのたちばんや駅構内の巡回、車内の警戒のほか、おとしものや被害相談のうけつけをこなす。
前任地の敦賀署では生活安全課に配属され、非行少年や犯罪被害にあった女性などさまざまなひとたちのはなしをきいてきた。
「相談だけでおわらせるのではなく、被疑者を特定して摘発につなげたい」といきごむ。
「被害にあっても、相談せずに我慢してしまうひともおおいはず」とのおもいからたちばんの時間をふやし、乗客が相談しやすい環境づくりにもちからをいれる。
「相談におとずれたひとが、最後に『ありがとう』といってくれたときがいちばんうれしい」とはなし、「ひとりでもおおくのひとが安心して電車にのれるようにがんばりたい」と意欲をしめす。
（増田紗苗）

〔中日新聞:女性狙った犯罪許さない　最年少の専従隊員が奮闘:福井（CHUNICHI Web）｜2010年5月12日〕

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痴漢や盗撮犯の現行犯逮捕にちからをいれる滋賀県警鉄道警察隊

通勤ラッシュがピークをむかえた早朝の JR 駅ホーム。女子高生につきまとうようにエスカレーターをあがるおとこがめにはいる。「あやしい」と直感した瞬間、乗降客のなみをかきわけ、おとこの背後にちかづく。かんづかれんよう注視する。

草津駅で私服すがたで痴漢や盗撮犯にめをひからせる男女の隊員（てまえ）（ちゅうにち）

滋賀県警鉄道警察隊は、県内の JR 59駅とその区間をはしる電車内での痴漢と盗撮をとりしまる。
男女 7人の私服隊員は 2、3人にわかれ、ひとりは改札付近、もうひとりはホームといったぐあいに、あさはやくからゆうがたまで駅や電車にはりこむ。不審者と判断すれば、すぐにケータイ電話のメールで連絡をとりあい、現行犯逮捕にそなえて連携してみはる。
鉄道警察隊幹部（52才）によると、「このての犯罪は証言だけではうらづけがむずかしい。犯行げんばをおさえるのがいちばんのきめて」とはなす。
ＪＲ駅と電車内の痴漢・盗撮犯の発生・とりしらべ件数は過去 4年間で倍増し、去年は 65件を記録。おなじ期間で、200件あったスリ・置引犯が 120件をわったのとは対照的だ。
鉄道警察隊は 2009年度の組織改編で、隊員 19人が 7人にへり、全隊員を痴漢・盗撮犯捜査に特化。全駅をカバーするのはむずかしく、被害のおおい JR 琵琶湖線に集中配備。

【てぐちの巧妙化、悪質化】
滋賀県内のＪＲ駅と電車内での痴漢・盗撮犯の発生状況（ちゅうにち）

てぐちの巧妙化、悪質化もなやみどころで、おとなしそうな女性をねらった痴漢やこがたカメラをかくしもった盗撮犯など、「被害者が相談できん、あるいはきづいとらん潜在的な犯行のかずは、警察でも把握できん」。
鉄道警察隊は 4月末、ＪＲ近江八幡駅ちかくの専門店で、女子高生のスカートのなかを盗撮したうたがいで、東近江市職員のおとこを現行犯逮捕。隊員らは 1週間まえのゆうがた、おとこが駅で女子高生の背後をなんどもうろついとったのをみつけ連日、おなじ時間帯を警戒。このひ、あらわれたおとこを尾行し、げんばをとりおさえた。
おとこはビジネスバッグにカメラつきケータイ電話をしこみ、まうしろから盗撮したとの容疑がもたれとる。逮捕した男性隊員は「巧妙なてぐちでも不審なうごきはかならずでる。かくれた犯行をあきらかにするためには、なんどもげんばにあしをはこぶしかない」とはなす。