川崎重工がアメリカのパストレインから通勤電車の新造72両と更新350両を受注

日本経済新聞の記事でしっただけど、2018年7月30日、川崎重工アメリカのパストレインから通勤電車の新造72両と更新350両を受注したげな。パストレインってのはハドソン川をはさんでニューヨークとニューアークをむすぶ全長22.2キロの通勤路線だ。記事ではあわせて、にほんの鉄道車両メーカーの海外進出のことや、世界的な鉄道車両メーカーとの比較にもふれとる。

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きたアメリカでは連戦連勝、川崎重工鉄道車両が存在感

日本経済新聞 - 2018年7月30日)

  • 川崎重工が得意の北アメリカ地域で鉄道車両ビジネスを拡大している。最大1,600両規模を大量受注したアメリカニューヨーク地下鉄に加え、近隣地域でも通勤電車の製造と機器更新をおよそ270億円で受注した。1980年代から市場で生き抜いてきたノウハウを前面に、モノ売りに頼らない稼ぎ方を身につけた。統廃合が進む再編の波間でも独自の存在感を見せている。
  • 川崎重工は2018年7月30日、パストレイン=ニューヨーク・ニュージャージー港湾局トランスハドソン公社(PATH*1)から通勤電車PA - 5」72両の製造と運行中の同型車両350両の機器更新を受注したと発表した。受注総額はおよそ2億4千万ドル(およそ266億円)。
    川崎重工「PA - 5」(にっけい) 680-450
    △ 川崎重工「PA - 5」(にっけい)
  • PA - 5は18メートル級のステンレス車両で、ニューヨーク・マンハッタン島と対岸のニュージャージー州を結ぶ「PATHトレイン」向け。車両は2021~2022年に納入し、屋根や外壁などを組み上げた「構体」と呼ぶ部分から機器の取り付けまでをアメリカ国内の2工場で手掛ける。
  • PATHで運行している全350両の整備も受注した。空調や駆動装置、ドアなどを新品に取り換えるオーバーホールはアメリカニューヨーク州の工場で2024年にかけて実施する見通し。これまでの納入実績を生かしたストック型ビジネスの強化を掲げ、新車需要にとどまらない商機を開拓する。
  • 鉄道輸送は先進国などでの環境意識の高まりに加え、新興国では交通渋滞の解消策として見直されている。UNIFE(ヨーロッパ鉄道産業連盟)によると鉄道車両の市場規模は2021年に1,850億ユーロ(23兆円)と2015年に比べ16%伸びる見通しだ。
  • 日本メーカーにとってアメリの鉄道需要は見逃せない。鉄道事業者の要求に応じて仕様を細かく変える必要があり、業界のトッププレーヤーとも互角に張り合えるためだ。国境をまたぐ直通運転の需要を背景に規格の統一が進み、経営体力が受注能力に直結しやすいヨーロッパなどとは対照的だ。
    パストレインの路線図(ヰキペディア) 650-250
    △ パストレインの路線図(ヰキペディア)
  • 日立、近畿車両、日本車両
    鉄道車両で国内最大手の日立製作所は2016年にアメリフロリダ州に製造拠点を開き、2017年にはボルチモア地下鉄向けの車両を受注した。近鉄グループ近畿車両アメリボストンやロサンゼルスなど主要都市にLRT(次世代路面電車)向け車両を納入している。一方で、JR東海傘下の日本車両製造は2012年に北アメリカから受注した車両が基準の強度を満たさず、多額の損失を計上した末に製造を断念。2018年7月24日にアメリカ国内の工場閉鎖・売却を発表した。
  • 川崎重工は2018年1月、ニューヨーク市交通局(NYCT)から新型車両「R211」を大量受注した。追加分を含めて最大1,612両の大量受注で、同地下鉄向けの車両ではシェア首位に立つ。PATH向けは1984年の初受注以来シェアを伸ばし、現在運行中の車両はすべて川崎重工が製造してきた。
  • 鉄道車両メーカーは2015年に中国国内メーカーが統合し、最大手の中国中車が誕生。世界2位のドイツシーメンスと同3位のフランスアルストムも2018年末に鉄道車両部門で事業統合し、新会社「シーメンスアルストム」が発足する。ともに売上高規模で数兆円規模のグローバルプレーヤーが幅を利かせ始めた。
  • 川崎重工鉄道車両事業の売上高は2018年度(予想)で1,600億円程度にとどまる。ニューヨークで当たり前となった「メード・バイ・カワサキ」だが、今后、同社がより強い存在感を示すには導入后のメンテナンスや機器更新の重要性が増してくる。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」やAIなどの最新技術を組み合わせ、次世代の鉄道車両ビジネスを開拓できるかが問われてきそうだ。

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なるほど、川崎重工はニューヨーク地下鉄でも大量受注をうけとって、こんかいのパストレインからの受注があって連戦連勝ってわけだ。きたアメリカではこまかい仕様変更への対応が必要で、世界的な鉄道車両メーカーとも互角にはりあえるって。日立もボルチモア地下鉄に、近畿車両もボストンやロサンゼルスの路面電車に、それぞれ参入しとるか。ゆいつ、わが愛知県の日本車両が大失敗しとるのがかなしい。

ただ、世界的にみると中国中車やシーメンスアルストムっていう巨大鉄道車両メーカーが、ともに数兆円規模の圧倒的なうりあげだかをあげとる。川崎重工のうりあげだかはわずかに1,600億円。40分の1だ。ヨーロッパなんかじゃあ規格の統一がすすんどって、そもそも経営体力のある巨大鉄道車両メーカーじゃないと受注もむづかしいとのこと。


(さんこう)

*1:ストレインハドソン川をはさんでニューヨーク市ニューアーク市をむすぶ鉄道