田口線略史 - モハ14車内展示

田口の奥三河郷土館(おくみかわきょうどかん)においてある田口鉄道モハ14のなかに田口線略史が展示してあった。以下に紹介する。
訪問=2018年11月17日(豊鉄バス三河再発見ツアーで)

◇            ◇

豊橋鉄道かぶしき会社略史
2018.11.17 (47) 田口線モハ14 - 田口線略史 (1) 850-530
郷土に鉄道をの郡民の悲願がみのって、電車が寒狭川(かんさがわ)のたにぞこにさいしょの車輪をしるしたのは、昭和のはじめであった。ほれから文化経済の大動脈として、地域の発展に貢献した鉄道田口線も、昭和のなかごろからおとろえがめだちはじめ、豊橋鉄道移管っていう起死回生の大手術も奏功せず、1968年8月31日、40年の歴史をとじた。田口線はなくなったけど、おもいでの電車はまんだわたしたちのこころのなかをはしりつづけとる。

2018.11.17 (48) 田口線モハ14 - 田口線略史 (2) 750-430
1926年11月15日、長篠(いまの大海)-田口間蒸気鉄道免許
1927年9月30日、鳳来寺口(いまの本長篠)-田口間電気鉄道に変更認可
1927年11月むいか、田口鉄道かぶしき会社設立
1929年5月はつか、鳳来寺口-三河海老間11.6キロ運輸開始認可
1929年5月22日、この区間で運輸営業開始
1930年12月いつか、三河海老-清崎間6.5キロ運輸開始認可
1930年12月とおか、この区間で運輸営業開始

2018.11.17 (49) 田口線モハ14 - 田口線略史 (3) 810-460
1932年12月はつか、清崎-三河田口間4.5キロ運輸開始認可
1932年12月22日、この区間で運輸営業開始
1943年7月ついたち、車両の運用を国鉄に委託
1951年4月ついたち、国鉄名鉄と相互のりいれ運転契約
1956年10月ついたち、豊橋鉄道かぶしき会社に合併、田口線となる
1963年3月にじゅうよっか、国鉄飯田線へののりいれ運転廃止
1965年9月18日、台風24号の被害により、清崎-三河田口間4.5キロ運輸営業休止、電車代行バス運転
1968年7月19日、本長篠三河田口間22.6キロ運輸営業休止認可
1968年8月31日、この区間運輸営業廃止

(感想)
「大海(おおみ)-田口間蒸気鉄道」から「本長篠(ほんながしの)-田口間電気鉄道」に変更認可ってとこ、けっこう重要かもしれん。さいしょは全線寒狭川(かんさがわ)ぞいにひくべく飯田線大海から分岐する予定だっただけど、鳳来寺がおおぐち資金提供者になったことで、「飯田線本長篠から分岐してやまごえで鳳来寺をとおって、寒狭川の支流海老川(えびがわ)ぞいをとおって、トンネルをぬけて田峯で寒狭川ぞいにでる」っていう経路にかわっただ。勾配も当初予定よりきつくなったおかげで、蒸気鉄道から電気鉄道への変更もしとる。
1929年に本長篠から海老(えび)まで、1930年に清崎(きよさき)まで、1932年に終点田口までって、3段階にわけて開業しとる。こいで東三河の中心豊橋からおくみかわの拠点田口まで鉄道がつながった。ちなみにわが西三河じゃあ、1928年までに西尾線三河線が全線開業して、1929年には蒲郡線の吉良吉田から三河鳥羽までの部分開業と挙母線の全線開業をむかえる。西三河東三河も鉄道の黄金時代だ。
1951年から国鉄名鉄と相互のりいれをはじめとる。画期的なことだ。田口線沿線から名古屋までかよっとったっていうはなしもきいたし、田口から名鉄国鉄の各駅までのきっぷも現にあった。田口線もたんなる山間部の鉄道っちゅうだけじゃなくて、愛知県内鉄道網の一環をなしとっただ。
1968年に廃線。高度経済成長の進展にともなって、ひとびとはクルマをえらんだだ。いまから50年まえのできごと。

田口線廃止時の車両
2018.11.17 (50) 田口線モハ14 - 田口線略史 (4) 790-460
2018.11.17 (51) 田口線モハ14 - 田口線略史 (5) 800-450
モ10がた(Nos14、15) 旧豊川鉄道モハ14、15
  モハ14は設楽町に寄贈された。この車両がほれである。
  モハ15は解体
モ30がた(Nos36、37) 旧田口鉄道モハ101、102
  ともに渥美線に転用
ト200がた(Nos233、234) 旧名古屋鉄道ト 233、234
  ともに解体

(感想)
前回、豊鉄バス三河再発見ツアーの田口線廃線あとめぐりで「田口線は車両番号14、15、36、37の4両の電車で運行をまかなっとった」っていういき証人のはなしをきいただけど、まさに合致しとる。

森林鉄道
2018.11.17 (52) 田口線モハ14 - 田口線略史 (6) 950-540
所管:当初=宮内省名古屋帝室林野局新城出張所
所管:1947年=農林省林野庁名古屋営林局新城営林署
田峯森林鉄道本線:延長18,850メートル/1931年開通/1960年3月廃止
   支線栃洞線:延長6,196メートル/1932年開通/1959年3月廃止
田口森林鉄道本線:延長9,638メートル/1940年開通/1961年3月廃止
   支線椹尾線:延長5,801メートル/1934年開通/1963年3月廃止

(感想)
とちゅうの田峯(だみね)からと終点の田口から、田口線には2本の森林鉄道がつながっとった。皇室所有の森林、御料林(ごりょうりん)からきりだされた木材をはこぶやくめもあっただ。客車と貨車を結合した混合列車ってのも時刻表にのっとる。ただ、御料林が優先されたおかげで、終点の田口のえきがまちからとおくはなれた、人家もない寒狭川のたにあいにできちゃったことはざんねんなことだ。田口線復活のときにはちゃんと田口のまちにえきをつくりたい。

◇            ◇

(さんこう)