あるひとの電車やバスについての注文

「電車もバスもしょっちゅう利用しとるけど、ひにひに不便になっていくぞ。『公共交通機関を利用しよまい』っていう市役所のかけごえだけで乗客がふえたためしなんかあやへんぞ。おかねと政治力がいるだて。いま和歌山にすんどるけど、免許をかえさにゃいかんぐらいのとしになっても公共交通機関が充実しとらにゃ、大阪かどっかにひっこしちゃうぞ。ほじゃなきゃふつうの生活がおくれんでだ。いまからでもいいで、ほういう施策をうちゃまにあうに。市役所の人間も公用車で移動するばっかりじゃなくて、電車やバスで日常的に移動してみろよ。道路にかけるおかねの100分の1でもいいで、鉄道やバスにまわしてくれや」

以上は、あるひとが市役所にだした注文の一部を筆者がかってに意訳したもんだけど、ほんとにわがおもいを代弁してくれとるっておもったわ。現状についてもいろいろいってみえるだけど、つぎに一部だけ紹介する。

「南海がやるきをなくしたのをいいことに阪和線の快速をなくなしちゃって、和歌山から天王寺まで、まえは50分でいけたもんが7、80分もかかるようになっちゃった。和歌山駅和歌山市駅をむすぶ紀和支線、1時間に1本しか電車がないってどういういことだ。JR西日本が南海に乗客をうばわれるのをおそれて、ほうしとるだら。1時間に4本でもむりなくはしらせれるし、紀和駅にいきちがい設備をつくや1時間に8本でもはしらせれるぞ。紀勢線特急、リニア・鉄道館にかざってあるようなふるい車両がはしっとるぞ。あたらしい287系もふりこなしのやすもんで、ほのふるい車両よりおそいってどういうことだ。鳥取県島根県は車両の新造や線路の高速化におかねをだしとるだけど、和歌山市和歌山県もみならちゃあどうだ」

さいごに市役所のホームページにのっとる原文をのせとく。とおりいっぺんの具体策のない市役所からの回答ものっとるわけだけど、まあ、こういうきびしい市民からの注文をのせとるっていうことに、ちょっとでもやるきはあるのかなってかんじたけどね。
2017.8.17 たま電車 (8) 和歌山 - 御坊いきふつう 1850-1040

ある和歌山市民の公共交通機関の利便性向上についての注文
  • 質問
    • 公共交通機関の利便性向上について具体的な施策をお願いしたいです。
    • 私は車を所有していますが、電車・バスもしょっちゅう利用します。しかし、日に日に不便になって行くのを実感しています。乗客が減ったから本数を減らす、不便になったから利用しなくなる、という負のスパイラルです。「公共交通機関を利用しましょう」という掛け声だけで乗客が増えた試しはありませんお金と政治力が必要です
    • 以下、事実と私の率直な考えです。
  1. JR阪和線(+大阪環状線
    • 2014年3月の改正で、事実上和歌山―天王寺間の快速が消滅しました。
    • 名前は「快速」が残っていますが、実際には熊取まで全駅に停車、和歌山駅紀伊中ノ島や山中渓と同等の扱いです。約30年前、和歌山~天王寺間が50分強、和歌山から東大阪まで何とか通える所要時間でした。しかし、今は天王寺までの所要時間が70~80分です。
    • 南海電鉄が著しく客数を減らしてやる気をなくしているのを見て、JRはやりたい放題です。亀快速がいやなら「くろしお」に乗れと。なお、車なら1時間20分くらいで行ける神戸や京都までも、JR(除く特急)だと2時間以上かかります
  2. JR紀勢本線(和歌山~和歌山市*1
    • 平日はほぼ1時間ヘッドです。都会のローカル線です。JRが南海に乗客を奪われたくないのでそうしています
    • この間の所要時間は6分、つまり1編成の列車で両端の駅に2分滞在してシャトル運転すると16分間隔、もう少し滞在時間を絞ると15分ヘッドも無理なく実現できます紀和駅に列車交換設備を復活させると7.5分ヘッドも可能です。たった2編成、計4両の車両で、1時間に8本の運転が可能です。ただし、数年前に和歌山線との単線供用となった区間は、元の専用線に戻さないとダメです。敷地はそのまま残されていますので、それほど難しい話ではありません。和歌山電鉄との一体運営の話しもうっすら出ていますが、その前にスグできることをまずやれば良いと思います。
      2017.8.17 紀和支線 (14) 和歌山市いきふつう - 紀和 800-1380
    • 和歌山電鉄が昇圧しましたから、乗り入れに一歩近づいたとも言えなくはないのですが。和駅~市駅間は今は和歌山バスの独壇場ですが、実際にバスに乗ってみると通しで乗る人は多くなく、ほとんど途中下車されています。なので、電車とバスの棲み分けは可能です。
  3. JR紀勢本線(和歌山以南)
    • 〔特急以外〕田舎の路線としてはまずまずの運営だと思います。しかし、乗客が増えている宮前駅を通過する「快速」を運転する意味がわかりません。もっと他に通過すべき駅はいくらでもあるはず。
    • ビッグホエール裏に新駅設置をお願いします。
      ここは大きなイベントごとに駐車場が満車になり国体道路が渋滞します。向かいのイズミヤの駐車場にもその車が流れてきます。和歌山駅から歩いてくる方もたくさんいます。他府県の方にとって路線バスはハードルが高いのだと思います。位置的にも和歌山駅宮前駅のちょうど中間、敷地もボッグホエール側にたくさんありますから、難しい立地ではないと思います。
    • 〔特急〕いまだに車令40年に迫ろうとする381系が走っていますが、これはJR東海リニア鉄道館では歴史の一部として飾られています。
    • 国鉄オリジナルカラー化してリバイバル列車として哀愁を漂わせるのなら良いですが、日常的に使用するのには無理があります。283系は車令約20年なのであと10年は大丈夫です。しかしこの制御振り子車は乗り心地は良いが車両価格が高く、車両数を増やなかったのが難点です。2012年に新造された287系は確かにキレイで気持ち良いですが、振り子なしの安物なので所要時間は40年モノの381系より遅くなってしまいました。山陰方面の高速化のために新造したキハ187系鳥取県島根県補助金を出したのとは対照的です。なお、路線そのものの高速化工事にも両県は補助金を出しています。もっと長期的な展望を持って、和歌山市和歌山県はお金と口を出してほしいです
  4. JR和歌山線
    • 和歌山市から岩出市の路線は、平日朝7時台の上りは1本のみです。逆に岩出発の7時台は5本あって、単線としては過密ダイヤです。その影響で上りが極度に少ないのですが、田井ノ瀬、布施屋、船戸と列車交換できる駅が3つあるので、もっと本数を増やすのはたやすいことです。まずそれだけはスグにお願いしたい。また、この路線の電化方式は「直接吊架式」であり、最高速度が時速85キロメートルに制限されています。直線の多い路線なので、これをごく普通のカテナリー吊架式」に変更すれば、オンボロの105系でも直線区間の多い和歌山線なら時速100キロメートル運転は可能です。
    • 阪和線の223・225系を使えば時速120キロメートルも可能。最低限ここまで改善し、徐々に千旦、紀伊小倉の列車交換設備設置、さらには岩出までの複線化吹田総合車両所日根野支所新在家派出所の敷地内への新駅設置(和歌山-田井の瀬間の駅間距離は4.6キロメートル)を実施し、枯れ行くローカル線からの脱却をお願いします。
  5. 南海本線
    • 完全にJR阪和線に乗客を奪われ、意気消沈ですが、駅前に利便性の高い原付置場がないのが致命的でした。和歌山市は日本一の原付の街です。
    • 行政が駅前を機能的に再開発すればまだまだがんばれると思います。
    • 高島屋の跡地の一部にイズミヤ系食品スーパーがかろうじて入りますが、これとていつまでボランティアしてくれるかわかりません。午后3時に扉がしまる銀行が駅ビル内に入居しているのも、駅としては良くないことです。駅ビルとしての機能(スタバ、本屋、コンビニ、飲み屋など)を充実させて、STATIONを維持させてください。このままだと本当に紀の川の向こうが終点になる可能性もゼロではないです。1903年に架橋した紀の川鉄橋の維持は永遠には不可能ですから。JRが最悪のダイヤ改正をした今こそ、起死回生のチャンスだと思います。10月18日に難波方面行きの昼間の普通が倍増するのはイオンモール効果が大きいですが、乗客増の効果がなければ時限措置に終わるかもしれません。
  6. 南海和歌山港線
    • 明石海峡大橋ができて南海フェリーの使命が終わった時点でこの路線は、存在価値を失いました。数年后の廃止はやむを得ないと思います。
    • かすかな望みは花王が貨物輸送を鉄道にシフトさせること、何らかの観光路線化(例:有田鉄道)を模索すること、元築港町駅あたりに安価で巨大な駐車場を行政が設置+南海電鉄もサザンの終着駅をココに変更してパーク&ライド化を推進すること。しかし、他の路線から見れば優先順位は高くありません。
  7. 和歌山電鉄貴志川線
    • 和歌山市紀の川市からの赤字補てんの打ち切り期限が迫っています。
    • 平日の夕方以降の下り電車は意外なほど乗客が乗っていて、黒字化も近い(営業係数:130程度)ようにも見えます。しかし、各キャラ電も車令が40年を優に超えていますので、実用的な運用期間はあと数年です。少し先を見据えてJR富山港線LRTにくら替えしたような構想を考えないと間に合わない時期に来ています。最近昇圧を実施し、最高速度は据え置きながら加速度の向上により所要時間がわずかに短くなりましたが、加減速性能の高いLRTならより一層の所要時間は短縮可能です。一時期和歌山電鉄側から津秦自治会に打診があった「津秦駅」の復活も推進をお願いします。この駅は戦前の山東軽便時代に津秦天満宮の鳥居脇にあったのですが、今は跡かたもありません。
    • 幸いにも今もその周辺は田んぼが残されており、また近隣の大きな病院の院長も駅設置に前向きらしいです。また、松島本渡線が近く開通することにより秋月海南線の交通量が減りそうなことも、徒歩や自転車で駅まで行くことを考えれば良いことです。津秦地区は今も住宅やハイツが増えており人口増加地域ですが貴志川線の駅がなく、和歌山バスの路線廃止(亀川線、津秦バス停)により公共交通機関の空白地帯となっています。紀勢本線の紀和、和歌山市方面との一体運営の話もありますが、単に直通させるだけでは乗客は増えません。
    • それに反対というわけではありませんが、目的を明確にさせるべきです。
    • また、スルッとKANSAI3daysパスの対象外であることもマイナスです。
  8. 和歌山駅
    • 私は出張で色々な地方都市へ行きますが、地方中核都市の中心駅で和歌山駅よりボロい駅は知りません
    • また、わかちか広場なる地下空間も極度に人通りが少なく、通るのが怖いくらいです。
    • 奈良、大分、松江、鳥取、高知、宮崎、佐賀、旭川
    • これらの駅は、和歌山駅より圧倒的に乗降客数が少ないです。
    • 長期的に高架化・地下化等も含め、何かをしかけるべきです。
  9. 和歌山市駅
  10. 和歌山バス
    • 2013年亀川経由海南藤白浜行きが廃止となりました。2014年、国体道路を南北に走る路線の本数が3割減となりました。何もしなければこれもいずれは廃止になると思います。
    • バスはただでさえ時間通りに来なくて急ぎの用事には利用しづらいのですが、ましてや本数が減る(1時間に2本など)と、日常的な利用はほぼ不可能です。日本中に復調したバス会社(十勝バス、会津バス井笠バス中国バスイーグルバスなど)はたくさんありますので、単なる赤字補てんではなくそのようなコンサル(一般財団法人地域公共交通総合研究所など)費用を補助する、自分が乗るバスが今どこを走っているのかが分かるシステム(←バスロケーションシステム、京都市営バスなどがやっています)にお金をかける、雨風をしのぐ為のブースの設置などの施策が必要です。また、夜遅くに大阪から電車で帰和すると、ほとんどのバスが終わっています。だいたい午后9時前が最終です。こんなのはそこそこ街としてあり得ない事態です。関西空港からのバスも最終が午后10時50分発です。私は海外からの出張帰りにこの便を良く使いますが、ものすごく混んでいます。また、飛行機、特に国際便はかなりの確率で遅延するので、この便に乗り遅れることもしばしばです。せっかくの24時間空港なのですから、30分あとにもう1本の増便を切望します。
  11. まとめ
    • 私は今は自分で車を運転しどこへでも移動できますが、いつかは運転免許証を返納する日が必ずやってきます。その時に公共交通機関が充実していなければ大阪市内かその周辺に引っ越そうと考えています
    • そうしなければ普通の生活を営めないからです。
    • しかし、そうならないように今から政治的な準備をすればまだ間に合うと思います。そういう施策をお願いしたいです。
    • また、ぜひ公用車ではなく、電車・バスで日常的に和歌山の郊外を移動して体感してみてください
    • 道路にかけるお金の100分の1でも良いので、上記施策にお金を回してください
    • 期待しています。よろしくお願いします。
  • 回答(2014年11月交通政策課)
    • 現在、和歌山市の公共交通機関は、鉄道が3社7路線、路線バスが22路線78系統あり、それぞれが市民の皆様の交通手段として重要な役割を果たしています。
    • しかしながら、人口減少や少子高令化が進み、民間のバス事業者や鉄道事業者の経営悪化が深刻化してきている中で、今后、持続可能な地域公共交通網を作ることが求められています。
    • 2014年11月20日に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律が施行され、今后、地方公共団体が中心となり、まちづくりと連携し、面的な公共交通ネットワークを再構築していくことになっていきます。
    • 本市としましても法の主旨にのっとり、都市計画マスタープラン等、他計画と整合性を取りながら、鉄道駅を中心とした交通結節点の整備やバス路線のネットワークの再編等、まちづくりと一体性のある公共交通網の形成を目指し、大阪市内と結ぶ鉄道の高速化や利便性向上、関西国際空港とのアクセスの向上など、JR西日本をはじめ事業者に強く働きかけながら共に取り組んでまいりたいと考えています。

◇            ◇

(さんこう)

*1:筆者はこれを紀和支線ってよんどる