木工細工蒸気機関車作品展 - 北岡茂治さん傘寿記念〔つづき〕

2018年3月21日から25日にかけてあんじょう市民ギャラリーで開催された、北岡茂治さん傘寿記念の木工細工蒸気機関車作品展。準備のひをふくめたふつかかんにみたぶんについてはさきにブログ記事にしたとこだけど、つづきとしてあらためてみにいったふつかかんのぶんについてこんかい紹介する。

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (17) 機関車庫とC111、C121 1920-1020

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C101号(タンク機)

タンク機ってのがいくつかあるのにきづいた。たずねたところ、「ふつうなら機関車のうしろに燃料の石炭をつんだテンダーっていう車両が付随しとって、石炭のしたにはみずがはいっとるだけど、みずを機関車のボイラーのりょうかたにおくことで、テンダーをなしにしたもんだ」とのこたえ。なるほど、テンダーのないやつはボイラーりょうかたにみずのタンクがついとるわ。C101号とC111号の2台の写真をとった。

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (1) C101号 1520-680
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (2) C101号 - 説明がき 680-160
制作番号12号機、C101号、タンク機、制作期間=41日間、制作サイズ=1/30
1931年、明治以来21年めのタンク機として23両がたんじょう。ボイラーりょうかたにほそながい給水あたため器を2本そなえたしんがたタンク機で、当初はめずらしいかたちだった。ただ、機関車本体の重量がおもいのが欠点だった。
(1) C101号(2) 説明がき

C111号(タンク機)

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (3) C111号 1420-660
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (4) C111号 - 説明がき 800-160
制作番号11号機、C形式C111号、タンク機、制作期間=69日間、制作サイズ=1/30
昭和を代表するタンク機C10形式の軽量改良機で、1932年から製造。改良がた量産機381両が製造。ポイントは蒸気効率をあげ性能向上。現在も各地で観光列車として運行中。
(3) C111号(4) 説明がき

高原のポニー号(C56160号)

蒸気機関車ってのは基本的に后進ができんくて、おりかえすには転車台が必要になるだけど、条件がきびしくて転車台が設置できんとこもあって、ほういうとこ用に后進できる蒸気機関車もうまれた。この高原のポニー号もほのひとつで、后進するときに運転士さんの視界をひろくとるために、テンダーりょうわきをうしろ傾斜させたもんだっていう。なるほどって感心した。

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (5) 高原のポニー号 1920-960
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (6) 高原のポニー号 - 説明がき 730-180
制作番号16号機、C56160号、高原のポニー、制作期間=59日間、制作サイズ=1/30
簡易線専用機(長距離可能)なテンダーつき。1932年たんじょう。C12を基本にした旅貨両用機関車で、テンダーの両サイドはうしろにおおきく傾斜をつけたデザインで登場。にんきもんで高原のポニーってよばれる。バック運転にも適した蒸気機関車だ。
(5) 高原のポニー号(6) 説明がき

C531号(3気筒機関車)

3気筒ってなんだっておもった。たずねたところ、「動輪をいごかすシリンダーが、りょうがわだけじゃなくて、まんなかにもあるやつ」とのこたえ。おー、ちからもちってわけだ。このC531号が国鉄はじめての3気筒機関車だってことで、写真をとった。

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (7) C531号 1550-720
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (8) C531号 1140-800
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (9) C531号 - 説明がき 860-210
制作番号27号機、C形式C531号、旅客用機、制作期間=79日間、制作サイズ=1/30
国鉄はじめての3気筒機関車。世界では3気筒が主流であり、にほん独自の設計で1927年たんじょう。機構は中央にシリンダーとふといバイラーを採用。強力機ぶりを発揮した。
(7)(8) C531号(9) 説明がき

ブリキのおもちゃ(X-324号)

模型をつくるにあたっては設計図が必要になるだけど、かならずしも入手できるばっかりじゃない。このブリキのおもちゃがほだ。写真をとって、ほっから設計図をおこして、ほのうえで作品にしていく。じつにきのとおくなるような作業だ。

2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (2) ブリキのおもちゃ X-324 1500-1080
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (3) ブリキのおもちゃ X-324 1880-760
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (4) ブリキのおもちゃ X-324 1480-840
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (5) ブリキのおもちゃ X-324 1500-920
(2) ブリキのおもちゃ X-324(3) 写真どり(4) 図面おこし(5) 模型づくり

2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (7) ブリキのおもちゃ X-324 1340-1000
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (8) ブリキのおもちゃ X-324 1600-1040
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (6) ブリキのおもちゃ X-324 640-150
制作番号40号機、X-324号、蒸気機関車、制作期間=31日間、制作サイズ=1/1ていど
用品店の店頭でみつけた「ブリキのおもちゃ」。かっこよくじぶんをよびとめたかんじ。制作してみたく店長に写真をとらせてもらい、これをもとに設計する。
(7)(8) ブリキのおもちゃ X-324(6) 説明がき

つばめ号(C622号)

時速100キロ以上ではしれるおおがた蒸気機関車で、国鉄のはながただった。

2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (9) C622 1700-720
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (10) C622 1600-950
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (11) C622 1060-720
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (12) C622 720-160
制作番号3号機、C622号、愛称=シロクニ、制作期間=82日間、制作サイズ=1/30
昭和の代表的C622号。おおがた旅客蒸気機関車として1948年たんじょう。わがくに最高の動輪径1750mm。おおきいボイラーで時速100キロ以上の速度でレフには「つばめ」マークを有する国鉄ずいいちの人気で、急行列車をけん引したスーパースターだ。
(9)(10)(11) C622(12) 説明がき

C59108号(おめし列車けん引機)

このきくのもんどころがめにはいらんか。ずがたかい。おめし列車けん引機だ。

2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (13) C59108 1850-770
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (14) C59108 1200-900
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (15) C59108 1070-800
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (16) C59108 650-130
制作番号20号機、C59108号、おめし仕様、制作期間=87日間、制作サイズ=1/30
戦前に最大の旅客用蒸気機関車としてたんじょう。1941年、わがくにはつ、長距離無停車運転可能機。当機はおめし列車けん引機でもあり、鳳凰もほこらしげに戦后もおめし列車けん引を数回まかされた。
(13)(14)(15) C59108(16) 説明がき

D51817号(デゴイチ

ごぞんじデゴイチ。1,115両も製造されたっていう。ちなみにCだのDだのってのは動輪のかずのことで、Cは3輪、Dは4輪のやつだ。Cが韋駄天なら、Dはちからもちだ。

2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (19) D51817 1720-760
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (17) D51817 880-640
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (18) D51817 770-560
2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (20) D51817 670-150
制作番号2号機、D51817号、愛称=デゴイチ、制作期間=67日間、制作サイズ=1/30
D51は第1次から第4次まで改良をかさね、すぐれた性能をもち、1936年からの11年間で1,115両製造された。当蒸気機関車は第3次改良がたで、貨物用として全国に配備された。作業は細部にきをくばり、リアルさを追求した作品だ。
(19)(17)(18) D51817(20) 説明がき

転車台

お、転車台! 作品は蒸気機関車にとどまらんかった。転車台まで木工細工でつくっちゃうだ。

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (10) 転車台 1920-1080
(10) 転車台

機関車庫とC111、C121

さらに、機関車庫まで! いやいや、おそれいるばっかりだ。

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (11) 機関車庫とC111、C121 1450-980
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (12) 機関車庫とC111、C121 1900-1070
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (13) 機関車庫とC121 1400-1040
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (14) 機関車庫とC111、C121 - 説明がき 900-180
(11)(12)(13) 機関車庫とC111、C121(14) 説明がき

部品群

部品がまたなかせる。実物の30分の1、40分の1っていう部品のなんとこまかいこと。もちろん木工細工でつくるだけど、蒸気機関車1台になんびゃくてんもいるっていう。いやいや、これまたきのとおくなるようなはなしだ。

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (15) 部品群 1880-960
2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (16) 部品群 1890-880
(15)(16) 部品群

北岡茂治さんの略歴

2018.3.22 木工細工蒸気機関車作品展 (18) 北岡茂治さんの略歴 1320-1030
1937年、滋賀県水口市(みなくちし)のいなかでうまれる。
1952年、中学卒業后、刈谷市のまちこうばに就職。
1957年、デンソーに転職。生産業務(技術系)にかかわり、趣味でにちよう大工をたのしむ。
1997年、60才で定年。定年后、豊田市NPO団体「木づかい」に入会登録し、ここで木工技術を習得。また、大工さんの指導をうけてログハウスなど、本格的ないえづくりもまなんだ。
2005年、愛・地球博にボランティアで活動参加。開催にむけてオオタカが生息するもりのたにまに間伐材をつかって「説明用こや」をたてる。
2009年、新城市(しんしろし)図書館での「たけ細工展」を見学。精巧なつくりにおどろき蒸気機関車の魅力にとりつかれ、ここでもと国鉄マンの牧野先生にであう。蒸気機関車製造の技術者であり、ほの熱血ぶりに脱帽。なんどか自宅におしかけ弟子いりし、なつごろにD511号、弁慶号、C12号などの図面をいただき、D511号の制作にはいる。先生のご指導もあり、初代デゴイチ、通称「ナメクジ」を110日間でつくりあげた。
2010年、68才から「いとのこ教室」にかよい、技術認定証をうける。技能向上をはかり、2両めデゴイチ「D51817号」を制作。さらに年間4両の目標をたてて、まいにち4、5時間工房にこもり制作をつづけ、喜寿までに30両をめざした。
2015年、4月に念願の個展を開催(あんじょう市民ギャラリー)。
2018年、喜寿をすぎても創作意欲がますますわいてきて、ジオラマ制作にも挑戦した。およそ10年間でつくった機関車は41両で、こんかい集大成の傘寿記念をみなさまのおかげで開催することができました。ほんとにしあわせな人生で感謝!感謝!感謝です。
(18) 北岡茂治さんの略歴

あんじょうホームニュース記事

2018.3.24 木工細工蒸気機関車作品展 (1) あんじょうホームニュース記事 1370-1040
傘寿記念の木工蒸気機関車作品展 - 21日から市民ギャラリー - 緑町の北岡さん
蒸気機関車の模型を木材で精巧につくりあげた作品展が、2018年3月21日からあんじょう市民ギャラリーでひらかれます。作者は緑町の北岡茂治さん81才。
自身の傘寿を記念して、過去に制作した木工蒸気機関車全作品を一挙に展示します。
中学を卒業后、まちこうばではたらきはじめた北岡茂治さん。自動車メーカーで定年退職をむかえるまで、ものづくりの第一線をはしりつづけてきました。10年まえ、展覧会でであったたけ細工の蒸気機関車に感銘をうけ、自己流で木工蒸気機関車の制作をはじめました。
職人かたぎの北岡茂治さん。専門書や図録、写真をさんこうに、ときには博物館にあしをはこんで縮尺20分の1から30分の1で図面をおこし、こまかい部品まで忠実に再現します。「うみぞい、やまやトンネルがおおい土地、ゆきぐに…。機関区にあわせて部品がかわる。外観から蒸気機関車がはしったけしきが想像できるだ」って魅力をかたります。
こんかいは10年間で完成させた41点を出品。明治時代にアメリカから輸入された「弁慶号」や、「デゴイチ」の愛称でしたしまれたD51がたのほか、デンパークのメルヘン号をかざったジオラマも登場します。
完成した蒸気機関車をながめるのがいやしのひととき。いままで1両もてばなさんできましたけど、作品展をさいごにつぎのもちぬしをさがす決意をかためました。「傘寿をむかえて終活せにゃ」って冗談めかし、「ものづくりはみてかんじることがたいせつ。だれかにゆずることでてづくりのたのしさをつたえれたら」ってねがいをこめます。
「作品が一堂に会するのはこれがさいご。でもまんだつくりたい。いくつになってもつくっとるときは、こどもみたいにきらきらしとるじゃないかな」
2018年3月25日まで。9時から17時(さいしゅうびは15時)。北岡茂治さん=090-1238-4189

(1) あんじょうホームニュース記事 - 2018年3月とおか

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(さんこう)