上総一ノ宮から関内まで行商に - あさひの記事から

むかしのことだ。しょいこをせなかにしょったおばあさんが電車にのっとったり、のりおりしたりするのをちょくちょくみかけたよ。しょいこもどえらいおおきいやつで、おばあさんとおんなじぐらいのおおきさがあった。こどもごころにもたいへんだな~っておもったもんだ。ほれもみかけんくなって、ずいぶんたつよな。

ところがほんなしょいこをしょうおばあさんがまんだおった。これをしったあさひの記事をつぎに紹介する。

  • 関内駅(かんないえき)ちかくのイセザキ・モールで斉藤いつ子さん74才は、ちいさな露店をひらく。千葉県一宮町(いちのみやまち)でみずからつくったトマトやブロッコリーなどのやさいをうっとる。
  • はじめたのは28才のとき。「よめにいったさきが行商のむらだった」。午前6時14分、上総一ノ宮駅(かずさいちのみやえき)から横須賀線直通の外房線(そとぼうせん)にのり、横浜駅まで2時間ほど。根岸線(ねぎしせん)にのりかえる。青春18きっぷをつかって乗車賃を節約することも。「むかしは行商専用列車があって、500人以上のっとった。いまはおんなじ駅から行商に出るのは3人だけ。わたしがいちばんのわかて」とわらう。
  • とうしょはあねがすんどったえんで東京・大森でうり、ほのあと、知人に紹介された横浜にうつった。しょいこで70キロのやさいをかつぎ、とくいさきをめぐった。25年ほどまえからは伊勢佐木町(いせざきちょう)でうる。午后3時か4時ごろ、のこり商品がすくなくなると、とくいさきをまわってうりきるスタイルだ。天気がわるいとみおくる。
    上総一ノ宮から関内に行商にきとる斉藤いつ子さん(あさひ)
  • やさいはけっしてやすくないけど、20年以上の客っていう女性は「あじがこいし、あまい。スーパーのやさいとはぜんぜんちがう」ってはなす。「つぎきせんで、たねかなえからつくるでね。肥料ひとつであじもまったくかわる」と斉藤いつ子さん。7年まえにやさいづくりをしとったおっとがなくなり、1,500つぼのはたけをひとりでせわしとる。いま行商は週2回が限度。「伊勢佐木町のみせはどんどんかわる。でも、まちなみをみるとじぶんのうちにおるようなかんじがしてほっとする。からだがいごくかぎりつづけたいね」。
(ねたもと)
(各駅停話)関内駅 - こだわり野菜 - 行商は74才 (伊丹和弘記者)|あさひ|2014年3月17日14時02分