2016年正月なのか、尾西線のたびにいってきた。尾西線は関西線と接続する弥富を起点に北上し、津島線が分岐する津島、祖父江町の代表駅森上、名古屋本線と接続する名鉄一宮ととおって、終点の玉ノ井にいたる里程30.9キロの線で、文字どおり尾張の西部をはしる線だ。この30.9キロのうち、弥富から津島までの8.2キロは津島線と一体運行がなされており、また、名鉄一宮から玉ノ井までの5.6キロはこの区間内だけで運行をおこなっており、このりょうはしをのぞいた中間部分、津島から名鉄一宮までの17.1キロの区間をのってきた。とちゅう、森上で下車しており、こんかいの前編では津島から森上まで8.0キロの区間について紹介する。
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つしま
ちかさんのてりょうりでひるをとったあと、神宮前から電車にのり、とちゅう須ヶ口でのりかえて津島のホームにとうちゃく。高架のホームはしましき1面2線で、おりたのはホームひがしがわになる1番線。ホームの発車案内板をみると、ホームにしがわになる2番線から吉良吉田いきふつうが13時47分にでたあとの13時49分に、1番線から名鉄一宮いきふつうがでる。このえきをでたあと、吉良吉田いきはみぎに名鉄一宮いきはにしにいくのに、発車番線はみぎひだりがはんたいになる。
△ うえ=134427 津島ホーム - きたむき
△ したひだり=134439 「ふつう 吉良吉田 13:47」、したみぎ=134457 「ふつう 一宮 13:49」
しばらくして、このえきでおりかえして名鉄一宮いきふつうになる電車が、1番線にはいってくる。これからのるやつだ。尾西線はふつうがすべてで、1時間に4本の運行がある。
△ 134554 津島ホーム - 津島いきふつうがおりかえして名鉄一宮いきふつうに
名鉄一宮いきふつうにのりこみ、みなみからやってきた吉良吉田いきふつうがきたにでていくのをみおくる。
△ うえひだり=134314 津島ホーム - みなみむき、うえみぎ=134807 吉良吉田いきふつう
△ した=134904 吉良吉田いきふつうをみおくる
つづいて、13時49分、わが名鉄一宮いきが津島をしゅっぱつ。津島線のさがり線を逆走するかたちだ。
△ うえ=134748 津島 - 名鉄一宮いきふつう
△ した=134952 名鉄一宮いきふつう - 津島しゅっぱつ
津島をでてじきに分岐点があらわれる。いったん津島線のあがり線にわたって、またひだりに分岐していくっていうかたちだ。単線でひだりに分岐したあと複線になり、ちょっといってガードをわたったとこで地平におりていく。
△ 津島線からひだりに分岐
(1枚め=135006)(2枚め=135012)(3枚め=135017)(4枚め=135027)
まちかた
地平をすすみさいしょのえき、町方(まちかた)にとうちゃく。なんちゅうちいさなホームだ。
町方をでて線路がみぎにまがるとこで高架の道路をくぐる。いま地図でみてみると、この道路が国道155号線で、尾西線にそうようにはしっとる。
ろくわ
六輪(ろくわ)にとうちゃく。ここもちいさなホームだけど、さっきの町方みたいなやぐらぐみじゃなくて、どっしりしたブロックづみになっとる。
六輪をでた直后にはんたい電車とすれちがう。電車はわが西尾線をはしるのとおんなじあかい電車だけど、単線の西尾線ではこのようなすれちがいはありえず、うらやましくおもう。
△ 135434 名鉄一宮いきふつう - 六輪しゅっぱつちょくご
ふちだか
渕高(ふちだか)にとうちゃく。いっしゅん、おおきなホームかなっておもったら、むこうの住宅がえきと一体化してみえたためで、やっぱりちいさなホームだ。しかも半分はやぐらぐみだ。ただ、ホームが貧弱なのに照明がいっぱいついとるのはどういうわけか。これまでのえきもほうだ。
まるぶち
まちなみがつきるとこで、丸渕(まるぶち)にとうちゃく。はじめてあらわれたしましきホームのえきだけど、なんだか「ローカル線のたび」っていうようなふぜいだ。
かみまるぶち
上丸渕(かみまるぶち)にとうちゃく。やっぱり貧弱なホームに照明がいっぱいだ。
△ 135943 名鉄一宮いき急行 - 上丸渕(かみまるぶち)
電車は濃尾平野を北上する。
△ 140137 名鉄一宮いき急行 - 上丸渕と森上のあいだ
もりかみ
しばらくすすんだとこで線路が単線になる。ほのむこうには、まあはいつぎの森上(もりかみ)のホームがみえとるっていうのにだ。用地買収におうじてもらえんかったのか。
△ 名鉄一宮いき急行 - 森上てまえで単線に(うえ=140209)(した=140223)
みじかい単線区間をくぐりぬけて森上(もりかみ)となる。ホームは2面3線で、わが名鉄一宮いきふつうは、みぎがわにはんたいの津島いきふつうがまっとるしましきホームのひだりがわにとうちゃく。まあひとつのかた面ホームは線路もさびさびで、つかわれとるようすがなかった。かいさつはこのかた面ホームのひだりがわにあるのにっておもう。あとでしらべると、ここ森上から木曽川ぞいの三興製紙までの専用鉄道が分岐しとったとのことで、このかた面ホームはほのなごりなのかもしれん。
△ 名鉄一宮いき急行 - 森上とうちゃく(うえ=140232)(した=140237)
森上とうちゃくは14時2分。津島からここ森上までの8.0キロを13分かけてきた。表定速度は時速36.9キロ。電車のゆか面とあわせるべきホームのかさあげもなされておらず、まくらぎもコンクリート化されておらず、近代化からとりのこされたってかんじの尾西線であり、この表定速度のおそさは当然ともいえるか。
△ 森上(うえ=140313 津島いきふつう)(した=140324 名鉄一宮いきふつう)
津島いきふつうがでていき、のってきた名鉄一宮いきふつうがでていってから、構内ふみきりをわたって駅舎にいく。風格のある駅舎だ。鉄道が交通手段の王者だった時代があっただ。
駅舎には駅員さんもおるし、まちあいのベンチもある。この森上のえきは祖父江町(そぶえちょう)の代表駅であり、まちあるきをするためにかいさつをでた。
△ 森上(うえ=140548 かいさつ)(した=140524 いりぐち)
祖父江のまちと尾西鉄道汽車発着時刻表
森上のかいさつをでてすぐにはいった喫茶店のマスターがこんな地図をみせてくれた。森上のえきと祖父江のまちははなれとって、あるくと30分ぐらいかかるとのことで、ちょっとひるむ。名所はあるかときいたら、さいしょはなんにもないとの返事。さらにきいて、やっと善光寺っていうおてらがあるとのこと。長野の善光寺にもまけんりっぱさだとのことばに、ひるんだきもちをたてなおしていくことにする。ほかににほんではめずらしい砂丘があるとのことだったけど、こいつはとおく木曽川ぞいであり、いまは堰(せき)ができたおかげでやせちゃったとのことでもあり、みおくった。
さらにマスターがみせてくれたのが、この尾西鉄道汽車発着時刻表。尾西鉄道っていう会社がこの尾西線をひいただ。しかもいまの名鉄の路線のなかでいちばんふるく、さいしょは汽車での運行だ。さいしょっから電車しかないっておもっとった名鉄だけど、ほじゃなかった。1900年1月時点で汽車の運行本数は1日9往復。いや、しかし、じつに貴重なものをみせてもらった。マスターとおくさんに礼をいい、善光寺にむかった。
△ 尾西鉄道汽車発着時刻表(1900年1月)三等賃金表・営業里程表
(さんこう)