ある晩秋のひの午后のひととき、水上ビル、けやきどおり、電車どおりと豊橋のまちなみをたのしんできた。
水上ビル
東海道線を豊橋駅でおりて、えきまえから見当をつけてみなみにあるく。フェースブックともだちのかたの投稿で豊橋に水上ビル(すいじょうびる)ってのがあることをしり、いってみいっておもっただ。ちょこっとあるいたとこで、あった、あった。このアパートみたいな外観のビルが水上ビルだ。りょうがわを道路にはさまれて、ひがしにのびる。1階がみせになっとって、りょうがわにある歩道のどちらにもアーケードがついとる。
ふりかえると東海道線の電車がみえ、てまえの空中歩道をひとがいく。
ひがしにのびたビルは南北にはしるおおどおりにつきあたっておわりになるけど、また、ほのむこうにおんなじようなビルがつづく。やっぱり1階にはみせがはいっとって、りょうがわを道路にはさまれとる。
むこうのビルにいくために歩道橋をあがったとこで、ふりかえってみる。みせのまえの歩道をおおうアーケードがようわかる。
きたをのぞむと、うじゃうじゃとはしるクルマのなかに、路面電車が停留場にとまっとるのがみえる。交差点は新川交差点で、にしからきた路面電車がきたにまがるとこだ。
ふたつめのビルはまた、みっつめ、よっつめのビルとひがしにつづく。ひとつめのビルとふたつめのビルをへだてとったのは南北にはしるおおどおりだったけど、つぎからはちいさなみちがビルとビルをへだてる。ちいさなみちは、ようみると「なんとかばし」の銘板がついとる。「はし」っていったって、かわなんかないじゃんか。いや、ずーっとつづいてきとるビルのしたがかわなだ。牟呂用水(むろようすい)っていう用水が地下水路化されてビルのしたをながれとるだ。ながくつながるビルを水上ビルっていい、ビルのりょうがわにかおをむけてのびる商店街を大豊商店街(だいほうしょうてんがい)っていう。
しばらくいったとこで、水上ビルがひだりにおれる。
ひだりにおれてちょっといったとこで、ついに水上ビルはつきる。
このさきはにしからきたおおどおりにななめにつきあたるだけど、合流地点に三角歩道橋がみえる。
さて、水上ビルを起点から終点までたしかめたとこで、とちゅうにみつけといた喫茶店までもどる。アーケードにヒグラシ珈琲の看板がぶらさがっとるとこだ。
みせにはいる。外見のなにげなさとうらはらに、なかなか豪華なふんいきだ。きりもりするのは美人ママさん。さいしょにすわった席からまどぎわの喫煙席にうつって、たのんだコーヒーをいただき、いっぷく。さいしょにママさんとカウンター席ではなしとったなじみ客がでていって、いれかわりぐらいにはいってきたわかものが、また、ママさんとコーヒー談義。わかもののはなしがおわったあたりで、じぶんもこしをあげる。勘定のときに「あっちにもこっちにもいりぐちがあって、おもしろいですね」ってみずをむけると、おれがはいったのとはんたいがわのいりぐちを、いっしょにそとにでてうれしそうに説明してくれる。さらに、おれがわざわざあんじょうからきたってことがわかると、さっきの三角歩道橋のさきまでいくと地中化されてない、ふつうの用水としてながれる牟呂用水がみれること、ほのむこうに三角にとがった石巻山(いしまきさん)がきれいにみえること、ほいから、ほっからひだり45度ぐらいの方向にすすむと、けやきどおりっていうすてきなとおりがあること、ほのまますすんで電車どおりにでてえきにもどれることなんかをおしえてくれる。
もちろん、美人ママさんのすすめにしたがう。まず、さっきはながめただけだった三角歩道橋にあがってみる。ふりかえって、水上ビルの終点を再確認。
むこうをみると、、、みえる、みえる。ふつうにみずがながれはしがかかるかわだ。これがもともとの牟呂用水のすがたで、水上ビルはこの用水を地中化したうえでほのうえにビルをたてたもんだ。こうやってもとのすがたと対比することで、水上ビルのおもしろさがより実感できる。のこぎりのはみたいなやまがきっと石巻山だ。
けやきどおり
なんちゅうみきのふとさだ。三角歩道橋をむこうにおりたとこからけやきどおりははじまるだけど、このふといみきにささえられて、中央分離帯のとこから左右にはるえだが、りょうがわ2車線づつの車道をおおいつくす。いちょうがうわる歩道を小学生がかえっていく。
よこみちもうつくしい。
けやきのしたをはしるクルマもやわらいでみえる。歩道を自転車の高校生がかえっていく。
このよこみちもうつくしい。にしびにてらされて、いちょうがかがやく。なんちゅうすてきなまちなみだ。
電車どおり
けやきどおりから電車どおりにでる。ちょうど赤岩口(あかいわぐち)いきのほっトラムが豊橋公園前の停留場をでていくとこだ。まちなみもほっトラムも、にしびにとけこむ。
ほっトラムとすれちがいにやってきたえきまえいき電車の車両番号は783。7月にむすめ夫婦のはからいでのせてもらったかしきり電車の車両番号も783だった。おもいでの電車にのって、電車どおりのけしきをたのしみ、豊橋駅にもどる。
(さんこう)